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日本に生まれてよかった。つくづく思う。
いや、海外に生まれていたら今の精神構造ではないのかもしれないから、そう思わないのかもしれないが、人として人間らしく生き、考えることができないのであれば、それはやはり人間らしさを失った獣と同じではないのだろうか。
中国における女児見殺し事件は、中国の暗部をクローズアップすると同時に、人間が今何を必要としているのか示唆してくれているのではないだろうか。

以下、IZAより

【環球異見】

 中国広東省仏山市で車にひき逃げされ、通りかかった18人にも救助されず放置された2歳の女児が死亡、現場の防犯カメラ映像がインターネット上に出回り、中国内外に「驚き」「怒り」が広がっている。中国紙は「道徳の危機」を訴え、欧州メディアは世界第2位の経済大国・中国の暗部を強調。意外にも台湾メディアは抑制気味に報じた。

 ■中国では誰もが孤島だ/サンデー・タイムズ(英国)

 23日付の英日曜紙サンデー・タイムズは中国・仏山で起きた事件について、「ひき殺した方が安くついたと運転手は語った」というマイケル・シェリダン極東特派員の詳細なリポートを掲載した。

 記事は、運転手が女児をはねた後、後輪で再びひいたことについて、「もし女児が即死していたなら2万元(1元=約12円)を支払えば済んだ。ケガだけなら(医療費で)何十万元を払わされるかもしれない」とテレビのインタビューで証言したことを取り上げる。

 四川省では、5歳の少年をはねて軽傷を負わせたトラック運転手が口封じのため改めてひき殺す事件が起きた。35歳の運転手は「いくら払えばいいんだ」と言ってのけたという。

 中国では路上の負傷者を助けた人が罪をなすりつけられる例が少なくない。女児ひき逃げ事件では18人が見て見ぬふりをして通り過ぎ、助けたのは「何も失う物はない」という廃品回収業の女性だった。その女性も騒ぎで大家から部屋を追い出され、いったん帰郷せざるを得なかった。

 大学の卒業生は同特派員に「当局ににらまれ、無実の罪に問われるのが怖くて人々は無関心になり、連帯感を失った」と証言。「英詩人ジョン・ダンの“なんぴとも一島嶼(とうしょ)にてはあらず”という有名な詩がある。中国ではしかし、誰もが“離れ小島”なのだ」という中国人ブロガーの言葉で記事は結ばれている。

 孫がいる女性ジャーナリストのインディア・ナイト氏は23日付の同紙コラムで、新聞社が電子版で女児ひき逃げの映像を流し続けたことについて、「言葉だけでは物足りないのか。記事を読めば何が起きたか想像できないのか」と述べ、「これはニュース映像ではなく、吐き気を催させる臭気に満ちた映画だ」と批判した。(ロンドン 木村正人)

 ■19人目になったかも…/環球時報(中国)

 中国共産党機関紙、人民日報系の国際情報紙、環球時報は19日付の社説で「仏山事件は社会道徳が“最低値”にあることを指し示した」と見出しに掲げた。

 香港にも近く、経済的に豊かな広東省仏山でひき逃げされた2歳の女児「悦悦ちゃん」を、いわば“見殺し”にした18人の通行人のみならず、「自分が19人目になったかもしれないと感じた多くの人がいる」と指摘。現場を通りかかった18人だけが冷淡だったのではない、と強調している。

 同紙は「女児ひき逃げ事件に世界が驚愕(きょうがく)」との記事で、日米欧の新聞が「中国の道徳危機」について報じた内容を紹介。ひき逃げした運転手よりも、18人の通行人に非難が集中しており、「金銭至上主義で道徳を失った」との海外からの批判に耳を傾けた。

 今回の事件の背景に、道端に倒れていた老人を助け起こしたところ、感謝されるどころか逆に加害者扱いされて金品をせびられるという、善意を逆手に取った悪質な手口が中国全土で横行している問題がある。

 社説ではこの風潮とともに中国に広がった「冷漠社会」(薄情社会)に警鐘を鳴らした。ただ、「19人目になったかも…」との指摘は、多くの中国人が困難に陥っている人を「疑う」ことが“当たり前”になっている点を認めた格好だ。

 しかし同紙も含め、「最低値」となったと自ら認識する中国人の道徳をどう取り戻すのか、真剣な議論が巻き起こっているとは言い難い。ただし、広東省当局などが「見死不救」(死にそうな人を見ても救わない行為)について法的に処罰する検討を始めたことについて同紙では、「政治や法律では解決できない」と評し“精神論”を説いた。

 事件が中国社会を変える契機になるかどうか。先はまだ何も見えてこない。(上海 河崎真澄)

 ■罪に問うべきなのか/聯合報(台湾)

 中国・仏山の事件は台湾でも主要各紙が報道した。

 ただ、馬英九総統が中国との「平和協定」の交渉や締結の可能性に言及した直後であり、しかも、中台の民間交流機関のトップ会談の時期とも重なり、こうしたニュースに押されて扱いは大きくなかった。

 そんな中、与党・中国国民党寄りとされる有力紙、聯合報は22日付で半ページを割いて伝えている。

 「見殺しは罪に問うべきか-議論誘発」などの見出しで、事件後、市民の議論がインターネット上で白熱している中国大陸の状況を報道した。しかし「中国人の徳義が最も欠乏した時代」との見出しをつけたものの、論評はなく、「道徳は病み、人心は病み、制度も病み、しかもいずれも重度だ」と報じた中国のメディアの嘆きを紹介したにとどまっている。

 
保守系有力紙、中国時報も同日付で、「見殺しにした1人」として批判を浴びる現場近くの店舗の経営者が、「当夜は雨が降っていて、暗くて本当に見えなかったんだ」「電話で皆からなじられ、店が開けられなくなった」などと証言していることを紹介。

 無視した通行人の法的問題以外にも、事故現場の管理者責任や、女児の父母の監督責任にも触れるなど、多角的に報じてはいるが、中国社会と台湾社会を対比させて是非を論じるような記事はみられない。野党系の新聞も同様だった。

 政治的・軍事的に対立の火種を抱えながらも、経済的には中台関係の緊密化が進む中、客観報道に徹した印象を受けた。

 馬政権が(定義の違いはあれ)「一つの中国」を対中姿勢の軸とする今、“中国人”のモラルが問われた仏山の事件を対岸の火事で済ますことができない、微妙かつ複雑な台湾メディアの心情を反映しているのかもしれない。
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